太田研 公開用Wiki

形状情報を利用した歩行者用信号認識

はじめに

研究背景

近年、人とロボットの共存を目指し、開発技術の向上のための様々な実験が行われており、その中の一つにつくばチャレンジというものがある。 つくばチャレンジとは我々が普段過ごしている「実環境」において働くロボットの技術の進歩を最大の目的として、つくば市内の遊歩道などの実環境下で移動ロボットに自律走行を行わせる技術チャレンジである。現在のつくばチャレンジでは、指定されたコースでのロボットの自律走行だけでなく+αの課題が与えられており、その課題の一つに歩行者用信号の認識・及び横断歩道の横断がある。

研究目的

信号探索において未検出、誤認識は重大な事故につながりかねない。そのため走行予定ルート上の信号は必ず正しく認識させる必要が有る。また、信号の認識自体が低速だと、赤信号を認識しても停止命令の実行が間に合わず、横断歩道に侵入してしまうことも考えられる。そのため、信号認識には精度・速度ともに質の高いものが求められる。

太田研究室では以前より前述のつくばチャレンジに参加しており、信号探索についても様々な手法の研究を行っていた。その中でも特に色情報を主として用いることが多く、実際に高い認識精度をもつことを確認されている。 しかし、色情報のみに焦点を当てて探索を行うと類似色の物体を信号と誤認識してしまうことがあり、過去の研究に置いても避けられない問題となっていた。

そこで本研究では、信号の色のみではなく形状情報にも焦点を当てることで類似色の物体の誤認識を防ぎ、なおかつ高い認識精度を維持することを目的とした。

テンプレートマッチング

テンプレートマッチングについて

テンプレートマッチングとはある画像内で部分画像と最も類似している箇所を探索・抽出する手法である。 以下、探索対象となる部分画像をテンプレート、探索を行う画像を入力画像とする。

手順としては、入力画像の隅から隅までテンプレートを1ピクセルずつ動かし、その位置での二画像の類似度計算を逐一行う。 最終的に入力画像全体で計算が終了した時点で類似度が最も高かった箇所が抽出される。

類似度計算

テンプレートマッチングの類似度計算にはいくつか種類があり、それぞれ計算量や特徴が異なるため用途や目的に応じて使い分けることができる。 今回は照度変化に受ける影響を少なく且つ極力高速な処理を目指しているためZNCCという手法を採用した。計算式は以下のようになる。

\\ZNCC計算式(画像)

このZNCC(Zero-mean Normalized Cross-Correlation)は入力画像とテンプレートそれぞれの画素値の平均を引いた後にその正規化相互相関を求める。計算結果の値は-1.0から1.0に収まり、0に最も近くなる箇所が最も類似している(最大スコア)ということなる。

ZNCCは類似度計算の中では計算量は多めだが、その分証明変化に強いという特徴が有る。信号認識に置いては認識率を第一とするため今回はこの計算法を採用した。


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