近年開発が盛んに行われている自動運転車の安全な走行を実現するためには, 自動運転車が交通規制を認識する必要があり, 道路標識の自動検出・認識技術は必須である. 自動運転車が標識を検出できるようにするには, 標識からビーコンを出す等, 交通インフラ側を整備する方法が考えられるが, 既存の社会基盤に大きな変更を加える方法では、膨大な資金と時間が必要である. よって今ある道路標識を活用できる, 人間の目と同様に画像による道路標識の検出が有効であると考えた.
画像から道路標識を検出する手法として、これまた近年盛んに研究されている機械学習がある. しかし, 機械学習は学習に多量のデータや計算資源を要し、あらゆる場面でこれを用いるのは得策ではない. 対して本研究では, とりわけ重要度が高い赤色を用いた標識を検出対象とし, シンプルなアルゴリズムでも充分高精度に道路標識を検出できることを示す.
また, 実際の公道に於いては, 複数種類の標識を同時に検出, 認識しなければならない場面は多いと言える. よって速度標識など赤色円形の標識と, 一時停止標識を同時に複数検出できる実装を試みる.
道路標識はJIS規格により定められた特徴的な配色を用いている. そこで自動運転車の前方の画像から赤色領域を抽出し, その形状を検査することで対象の道路標識を検出する. アルゴリズムは大まかに図1.1の様に構成されている. 以下に詳細を説明する.