近年,自動運転技術の研究が盛んに行われている.自動運転では様々なセンサーにより自己位置推定を行っている.その中でも,白線の検出には主にカメラが用いられている.3D-LiDARでも白線検出が可能だが,高価である,3次元情報を持つ高精度な地図が必要であるなどの欠点も存在する.こういった理由から,カメラによる検出は現在も需要が高い.
最も簡単な白線検出手法は,道路画像からエッジを検出し,その結果を元に直線検出を行う手法である.しかし,この手法では未検出や誤検出が大きな課題となる.機械学習を利用した検出手法も存在するが,処理時間が長く求められる処理性能も高いという欠点を持つ.自動走行においては,白線検出の他にも様々なセンサー等による計測をリアルタイムで行う必要があるため,機械学習の欠点は軽視できないといえる.
本研究では,建築物の影や道路標示の影響を軽減でき,かつ高速な白線検出手法を提案する.機械学習は利用せずに画像処理のみを用い,一般的な従来手法を改良する形で手法を提案する.カメラは単眼カメラを搭載したドライブレコーダーを想定する.従来の手法では用いられていない処理を採用した提案手法と,従来手法で用いられる処理を採用した比較手法を実装した.実際に撮影した道路上の画像から白線検出を行い,各処理の評価を行った.
実装した4つの手法にて,実際に画像を入力して白線検出を行い,評価した.入力画像は桐生市および桐生市周辺にて,ドライブレコーダーで撮影した画像170枚を用いた.画像は白線がある程度はっきりと写っているものに限定し,白線が著しく薄くなっているものは除外している.また,白線が破線になっている地点や,交差点で撮影したものについても除外している.画像の撮影時間帯は昼間のみに限定している.
白線を検出できた枚数,誤検出が発生した枚数を集計し,検出率と精度を求めた.また,画像1枚あたりの処理時間を計測した.