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LBP特徴量を用いたつくばチャレンジにおける経路封鎖看板の判定

はじめに

近年では,人々が普段生活する空間で自立した行動を行えるロボットの研究や開発が多く行われている.環境での自律走行を行うロボットの研究,開発を目的としている「つくばチャレンジ」という実験会が存在する.つくばチャレンジは毎年つくば市の市街地で移動ロボットを自律走行させる公開実験である.

2021年のつくばチャレンジでは下記の図1のような,つくば市役所からスタートし,近くの公園内の折り返し地点を軽有して市役所手前のゴールへと戻ってくるコースの完走が必須課題である.また選択課題として事前データ取得なし走行,信号認識横断,チェックポイント通過+経路封鎖迂回,探索対象発見が出題されている. 選択課題の経路封鎖看板迂回では,課題コースの一部となっている研究学園前公園内に通行を禁止する経路封鎖看板が数カ所に設置されている.遊歩道の両端に経路封鎖看板を設置することで経路封鎖を示している.ロボットは経路封鎖看板を自律的に認識し,迂回することが求められる.

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図1:2022年度課題コース

そこで,本論文ではこの経路封鎖迂回を可能にするため,経路封鎖看板を認識するために経路封鎖看板を判定するプログラムの開発を行った.

本研究では,経路封鎖看板を判定するのにロボット搭載のカメラ画像を用いて判定する.画像から識別するには,入力画像から特徴量を計算する.特徴量とは,画像から計算され,画像の特徴を表現した数値である.計算の仕方でさまざまな特徴量が考えられる.次に,基準となる画像の特徴量と入力画像の特徴量を比較する.そして,計算された類似度が基準値以上であるならば,入力画像は経路封鎖看板であると判定する.

つくばチャレンジは,屋外の活動である.つまり,時間帯によって日差しが変化してしまいカメラ画像にむらが生じる.そこで,照明変化に堅牢な経路封鎖看板を判定するプログラムを作成したいと考えた.

特徴量を計算するにはさまざま方法がある中で、LBP特徴量を使用した.LBP特徴量とは,注目画素に対する周辺画素の大小関係のパターンを表したものなので,画像の明暗やコントラストの変化に影響されにくいという性質がある.また,類似度の計算の方法もいろいろあるなかで相関係数を選択した.相関係数を使い,基準画像と入力画像の類似度を計算した.

提案手法

基準画像と画像セットそれぞれのLBP特徴量を計算し,ヒストグラムを作成する.その後,基準画像1枚と画像セットのヒストグラムを相関係数を用いて類似度を計算する.計算した値が基準値以上である場合,入力画像は経路封鎖看板であると判定する.

画像をグレイスケール化

LBP値を計算

ヒストグラムを作成

相関係数を用いて比較

評価実験

実験方法

考察

実験結果より対象看板を判定できなかった原因と,対象看板以外のものを誤判定してしまった原因を述べる.

画像セットの画像内に経路封鎖看板があるものの画像がぶれてしまい濃淡値の分布が変動してしまったため2つのヒストグラムを相関係数で比較したところ閾値を超えなかったため誤判定となった.

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図7:失敗例の画像とそのヒストグラム1

画像セットの画像内に経路封鎖看板があるものの経路封鎖看板の距離が遠く,余分な情報が入ってしまい,2つのヒストグラムを相関係数で比較したところ閾値を超えなかったため 誤判定となった.

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図7:失敗例の画像とそのヒストグラム2

画像セットの画像内に経路封鎖看板はないが2つのヒストグラムを相関係数で比較したところ閾値を超えてしまい,誤判定となった.

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図7:失敗例の画像とそのヒストグラム3

むすび

本論文では,ロボット搭載のカメラ画像を用いて特徴量と相関係数を用いて類似度を計算することで,つくばチャレンジで使用される経路封鎖看板を判定する手法を提示した.そしてこれに対して実際に使用される経路封鎖看板が写った画像と無作為に作成した画像を入力とする実験を行った.結果,精度に難があるものの,94%の高再現率で経路封鎖看板を判定できることを示した.

今後の課題として,今回は,つくばチャレンジ当日に撮影された画像を使って実験を行えなかった.そのため実環境下で経路封鎖看板を判定できるかどうか定かではない.したがって,本手法を実装し,実環境下での判定できるかどうかを確認する必要がある.また,再現率の向上が挙げられる.提案手法では判定の方法として単純な近さの計算である相関係数用いた.その結果検出率が低かった.そのため検出率の向上を目指すために誤判定への対処等を新たに考案する必要がある.


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