太田研 公開用Wiki 現在編集中
画像照合は様々な場面で使用されているが、用途の一つに自律走行ロボットの自己位置推定がある。ロボットが走行する際にはあらかじめ画像を記憶させておき、自律走行時には現在のカメラ画像と記憶画像を画像照合させることで、自己位置を確定させる。
しかし、このような撮影時期が異なる画像を照合するには、天候・照明条件が変化しても安定して照合できる照合方法が必要である。
自律走行ロボットが画像照合を用いて自己位置推定を行うには、様々な天候・照明条件のもとで安定して結果が得られることが求められている。本研究では画像照合方法の一つであるテンプレートマッチングに焦点を絞って実験し、天候・照明変化に対して堅牢な(ロバストな)画像照合方法を評価した。
テンプレートマッチングとは、入力画像とテンプレート画像を比較しながら照合を行い、類似度もしくは相違度を計算し、その数値からマッチング対象を検出する手法である。
テンプレートマッチングにはいくつかのマッチングアルゴリズムがあるが、今回評価したのは以下の4つのアルゴリズムである。
本研究ではマッチングアルゴリズムのロバスト性、照合対象物のロバスト性を評価するために以下の2つの実験を行った。
使用した画像は6月9日から13日までの5日間の4:15から19:15までを1分毎に撮影した画像4500枚(640×512[pixel])を使用した。
結果からSSD、NCCは撮影日やテンプレートによってマッチング成功率に差が出ていて不安定であるが、ISCとSRFは全てのテンプレートで安定して高い成功率を示している事がわかる。よってISCとSRFは天候・照明変化に強いといえる。
画像右下部分では成功率が低くなっているが、これは駐車している車が撮影時間で変わっていたり、駐車していない場合があるためであり、これ以外の部分で評価した。NCCとISCではほぼ全ての部分で高いマッチング成功率が得られた。SSDとSRFでは山や木の部分ではマッチング成功率は低くなった。そして全てに共通して、校舎や窓枠部分では安定してマッチングできている。よって、画像照合の対象物として人工的な構造物が天候・照明変化に強いといえる。
実験1では結果の表からSSD、NCCはISC、SRFと比較すると、路面に対してマッチング成功率が低くなっている。これは雨により路面に水たまりができ、道路上の模様が見えなくなってしまったことや晴れた際に影の影響で違う模様であると判断してしまったためと考えられる。また、昼と夜の路面を比べると明るさに大きな差があるが、この場合でもISC,SRFではマッチングに成功している
このことからISC,SRFは天候・照明変化に対して堅牢であるといえる。
しかし、実験1で安定して高いマッチング成功率を得られたSRFは、実験2においては山や木の部分で成功率が低くなっており、自然物を対象としてマッチングする場合は大きいテンプレートを使用する必要があると考えられる。
以上から天候・照明変化に対して堅牢な画像照合方法はISCを用いて構造物に対して画像照合させることだと言える。
本研究では天候・照明変化に対するロバスト性を画像照合方法および画像照合対象物の観点から、テンプレートマッチングをつかって実験し、評価を行った。画像照合方法の観点からはISC,SRFが天候・照明変化に対して高いロバスト性を持ち、画像照合対象物の観点から人工的な構造物が高いロバスト性を持つことがわかった。しかし、SRFは自然物を対象に画像照合を行う場合には大きなテンプレートが必要であることが考えられる。
以上のことからISCを用いて構造物に対して画像照合させることが天候・照明変化に対して堅牢な画像照合方法だと言える。