混同色線上の位置情報を画素のブリンク情報にマップした色覚異常者用の画像処理
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[[太田研 公開用Wiki]]
*混同色線上の位置情報を画素のブリンク情報にマップした色覚...
#contents
*研究背景 [#b82513ff]
人間は網膜内の3種類の錐体細胞によって色を感知しているが,...
もしくは複数が正常に機能しなくなると,
通常とは色が異なって見えてしまう.これを色覚異常と言う.そ...
正常な色覚ならば識別のできる2つの色が混同してしまうことが...
そのような色覚の差が,日常生活の中にも支障をきたす場面があ...
このような不便を解消するために,色覚異常者の色覚を画像処理...
行われてきた.
それらの先行研究を2つほど紹介する.
**手法1:色の変換を行う手法 [#wc062a9d]
この手法は,色覚異常者が識別困難な色を,識別可能な別の色に...
これならば,色覚異常者でも直感的に色の判別を行うことができ...
しかし,色自体を変換してしまうので,元画像の持つ自然な色合...
変換後の色が他の色と被ってしまわないように,色の種類の少な...
図1に手法1の例を示す.
#ref(syuhou1.png,center,100%)
CENTER:図1:色の変換を行う手法の例
**手法2:テクスチャを貼り付ける手法 [#r2309c69]
この手法は,色覚異常者が識別困難な色に対して,縞模様やドッ...
これならば色を変化させないので,元画像の色合いを保つことが...
図2に手法2の例を示す.
#ref(syuhou2.png,center,100%)
CENTER:図2:テクスチャを貼り付ける手法の例
*研究目的 [#o2ce1857]
先行研究での問題点を踏まえ,本研究の研究目的は「色覚異常者...
これならば,色自体は変化させないので元画像の自然な色合いを...
また,点滅の強さに変化をつけることで,対象物の色が変化する...
**具体例 [#e45e820d]
今回は色覚異常者が日常生活の中で色の識別ができずに困るこ...
また,色覚異常にも種類はあるが,今回は「1型2色覚」と呼ばれ...
図3にトマトと牛肉の色覚正常と色覚異常の色の見え方を示す.
#ref(ex1.png,center,100%)
CENTER:図3:色覚正常と色覚異常(1型2色覚)の色の見え方の違い
*提案手法 [#c97fa0f8]
**xy色度図 [#l46f5be6]
本手法では図4に示すようなxy色度図というものを用いている.
xy色度図は明るさを除いた色の性質である「色度」をxyの2次元...
xy色度図上の値(x,y)はXYZ表色系の値X・Y・Zを用いて以下の式...
CENTER:x = X / (X + Y + Z)
CENTER:y = Y / (X + Y + Z)
#ref(xy.png,center,25%)
CENTER:図4:xy色度図
色覚正常者はこのxy色度図上の全ての色を認識することができ...
CENTER:y = 1.415919x - 0.082680
#ref(xyP.jpg,center,100%)
CENTER:図5:直線P
また,図6に示すように,「混同色中心C(0.746495,0.253505)」か...
#ref(xyPCon.jpg,center,100%)
CENTER:図6:混同色中心と混同色線
色覚異常者はこの混同色線上の色の変化を認識することができ...
**トマトと牛肉の色変化 [#o20d75f3]
図7はxy色度図上でのトマトと牛肉の色変化を示している.
実物のトマトと牛肉の反射スペクトルを分光放射計を用いて測...
トマトの色変化はA1からB1への変化,牛肉の色変化はB2からA2へ...
このようにトマトと牛肉の色変化は多少の誤差はあるものの,ほ...
#ref(tomatobeef.png,center,90%)
CENTER:図7:xy色度図上でのトマトと牛肉の色変化
そして,この色変化に基づいて,適切な基準混同色線を選択した...
#ref(tomatobeef2.png,center,90%)
CENTER:図8:トマトと牛肉の基準混同色線
**混同色線上の位置情報 [#nb27686a]
点滅の強さを決める際に必要となってくるのが,混同色線上の位...
位置情報は0~1の範囲としている.
#ref(ichi.png,center,90%)
CENTER:図9:混同色線上の位置情報
**位置情報と点滅強度 [#g2ef8ee1]
図10は混同色線上の位置情報と点滅の強さである点滅強度の関...
今回はこれらのグラフに従って,対象物の点滅の強さを変化させ...
なお,このグラフは点滅を適用する実験を繰り返した結果,現状...
#ref(Strength.png,center,90%)
CENTER:図10:位置情報と点滅強度のグラフ
*実験 [#f92cd28d]
**点滅処理の適用結果 [#h1916c76]
トマトと牛肉の画像に点滅処理を適用した結果を図11と図12に...
#ref(tomato.png,center,90%)
CENTER:図11:点滅を適用したトマトの画像
トマトの場合は赤いトマトが強く点滅し,緑のトマトは点滅しな...
#ref(beef.png,center,90%)
CENTER:図12:点滅を適用した牛肉の画像
牛肉の場合は完全に生の部分は強く点滅し,生焼けの部分は少し...
**協力者による状態識別実験 [#g0113359]
本研究の効果を客観的に評価してもらうために,色覚正常者19名...
トマトの状態は赤・黄・緑に3状態,牛肉の状態は生・生焼け・...
表1に識別の正答率を示す.
CENTER:表1:トマトと牛肉の状態識別の正答率
#ref(hyou.png,center,70%)
表1より,トマトと牛肉のどの状態識別においても,9割以上の正...
*まとめ [#j49374a2]
本研究では,色覚異常者が識別困難な色に対して,明るさ変化に...
*今後の課題 [#z1e374d8]
-点滅の強さによって対象物の色変化の様子を表すことができた...
-より正確に対象物に点滅処理を施すために,点滅処理適用範囲...
-本手法を最も有効に機能させる方法の一つとして,スマートフ...
*参考文献 [#c71a7942]
[1]目黒光彦, 高橋知紘, 古関敏夫, ``色覚バリアフリーを実現...
[2]M.Ichikawa, K.Tanaka, S.Kondo, K.Hiroshima, K.Ichikawa...
K.Fukami, ``Preliminary study on color modification for s...
barrier-free color vision", Proc. of 2004 IEEE Internatio...
Man and Cybernetics, vol.1, pp.36-41, Oct. 10-13, 2004.~
[3]嶋村謙太,竹田真弓,鬼頭伸一郎,洪博哲, ``色覚異常者と...
[4]K.Wakimoto, Y.Kanazawa, and N.Ohta, ``Color image enha...
dichromats by additive image noise, IPSJ Trans". Computer...
vol.5, pp.45-49, 2013.~
[5]小林光夫, ``色再現・色管理・色の見え",日本色彩学会誌 ...
[6]F. Vienot, H. Brettel, and J.D. Mollon, ``Digital vide...
[7]D. I. A. ``MacLeod and R. M. Boynton, Chromaticity dia...
[8]橋本直孝 ``画像領域に依存した処理を行う色覚異常者のた...
[9]越貴章 ``ドット・格子を用いた模様掛けによる色覚異常者...
終了行:
[[太田研 公開用Wiki]]
*混同色線上の位置情報を画素のブリンク情報にマップした色覚...
#contents
*研究背景 [#b82513ff]
人間は網膜内の3種類の錐体細胞によって色を感知しているが,...
もしくは複数が正常に機能しなくなると,
通常とは色が異なって見えてしまう.これを色覚異常と言う.そ...
正常な色覚ならば識別のできる2つの色が混同してしまうことが...
そのような色覚の差が,日常生活の中にも支障をきたす場面があ...
このような不便を解消するために,色覚異常者の色覚を画像処理...
行われてきた.
それらの先行研究を2つほど紹介する.
**手法1:色の変換を行う手法 [#wc062a9d]
この手法は,色覚異常者が識別困難な色を,識別可能な別の色に...
これならば,色覚異常者でも直感的に色の判別を行うことができ...
しかし,色自体を変換してしまうので,元画像の持つ自然な色合...
変換後の色が他の色と被ってしまわないように,色の種類の少な...
図1に手法1の例を示す.
#ref(syuhou1.png,center,100%)
CENTER:図1:色の変換を行う手法の例
**手法2:テクスチャを貼り付ける手法 [#r2309c69]
この手法は,色覚異常者が識別困難な色に対して,縞模様やドッ...
これならば色を変化させないので,元画像の色合いを保つことが...
図2に手法2の例を示す.
#ref(syuhou2.png,center,100%)
CENTER:図2:テクスチャを貼り付ける手法の例
*研究目的 [#o2ce1857]
先行研究での問題点を踏まえ,本研究の研究目的は「色覚異常者...
これならば,色自体は変化させないので元画像の自然な色合いを...
また,点滅の強さに変化をつけることで,対象物の色が変化する...
**具体例 [#e45e820d]
今回は色覚異常者が日常生活の中で色の識別ができずに困るこ...
また,色覚異常にも種類はあるが,今回は「1型2色覚」と呼ばれ...
図3にトマトと牛肉の色覚正常と色覚異常の色の見え方を示す.
#ref(ex1.png,center,100%)
CENTER:図3:色覚正常と色覚異常(1型2色覚)の色の見え方の違い
*提案手法 [#c97fa0f8]
**xy色度図 [#l46f5be6]
本手法では図4に示すようなxy色度図というものを用いている.
xy色度図は明るさを除いた色の性質である「色度」をxyの2次元...
xy色度図上の値(x,y)はXYZ表色系の値X・Y・Zを用いて以下の式...
CENTER:x = X / (X + Y + Z)
CENTER:y = Y / (X + Y + Z)
#ref(xy.png,center,25%)
CENTER:図4:xy色度図
色覚正常者はこのxy色度図上の全ての色を認識することができ...
CENTER:y = 1.415919x - 0.082680
#ref(xyP.jpg,center,100%)
CENTER:図5:直線P
また,図6に示すように,「混同色中心C(0.746495,0.253505)」か...
#ref(xyPCon.jpg,center,100%)
CENTER:図6:混同色中心と混同色線
色覚異常者はこの混同色線上の色の変化を認識することができ...
**トマトと牛肉の色変化 [#o20d75f3]
図7はxy色度図上でのトマトと牛肉の色変化を示している.
実物のトマトと牛肉の反射スペクトルを分光放射計を用いて測...
トマトの色変化はA1からB1への変化,牛肉の色変化はB2からA2へ...
このようにトマトと牛肉の色変化は多少の誤差はあるものの,ほ...
#ref(tomatobeef.png,center,90%)
CENTER:図7:xy色度図上でのトマトと牛肉の色変化
そして,この色変化に基づいて,適切な基準混同色線を選択した...
#ref(tomatobeef2.png,center,90%)
CENTER:図8:トマトと牛肉の基準混同色線
**混同色線上の位置情報 [#nb27686a]
点滅の強さを決める際に必要となってくるのが,混同色線上の位...
位置情報は0~1の範囲としている.
#ref(ichi.png,center,90%)
CENTER:図9:混同色線上の位置情報
**位置情報と点滅強度 [#g2ef8ee1]
図10は混同色線上の位置情報と点滅の強さである点滅強度の関...
今回はこれらのグラフに従って,対象物の点滅の強さを変化させ...
なお,このグラフは点滅を適用する実験を繰り返した結果,現状...
#ref(Strength.png,center,90%)
CENTER:図10:位置情報と点滅強度のグラフ
*実験 [#f92cd28d]
**点滅処理の適用結果 [#h1916c76]
トマトと牛肉の画像に点滅処理を適用した結果を図11と図12に...
#ref(tomato.png,center,90%)
CENTER:図11:点滅を適用したトマトの画像
トマトの場合は赤いトマトが強く点滅し,緑のトマトは点滅しな...
#ref(beef.png,center,90%)
CENTER:図12:点滅を適用した牛肉の画像
牛肉の場合は完全に生の部分は強く点滅し,生焼けの部分は少し...
**協力者による状態識別実験 [#g0113359]
本研究の効果を客観的に評価してもらうために,色覚正常者19名...
トマトの状態は赤・黄・緑に3状態,牛肉の状態は生・生焼け・...
表1に識別の正答率を示す.
CENTER:表1:トマトと牛肉の状態識別の正答率
#ref(hyou.png,center,70%)
表1より,トマトと牛肉のどの状態識別においても,9割以上の正...
*まとめ [#j49374a2]
本研究では,色覚異常者が識別困難な色に対して,明るさ変化に...
*今後の課題 [#z1e374d8]
-点滅の強さによって対象物の色変化の様子を表すことができた...
-より正確に対象物に点滅処理を施すために,点滅処理適用範囲...
-本手法を最も有効に機能させる方法の一つとして,スマートフ...
*参考文献 [#c71a7942]
[1]目黒光彦, 高橋知紘, 古関敏夫, ``色覚バリアフリーを実現...
[2]M.Ichikawa, K.Tanaka, S.Kondo, K.Hiroshima, K.Ichikawa...
K.Fukami, ``Preliminary study on color modification for s...
barrier-free color vision", Proc. of 2004 IEEE Internatio...
Man and Cybernetics, vol.1, pp.36-41, Oct. 10-13, 2004.~
[3]嶋村謙太,竹田真弓,鬼頭伸一郎,洪博哲, ``色覚異常者と...
[4]K.Wakimoto, Y.Kanazawa, and N.Ohta, ``Color image enha...
dichromats by additive image noise, IPSJ Trans". Computer...
vol.5, pp.45-49, 2013.~
[5]小林光夫, ``色再現・色管理・色の見え",日本色彩学会誌 ...
[6]F. Vienot, H. Brettel, and J.D. Mollon, ``Digital vide...
[7]D. I. A. ``MacLeod and R. M. Boynton, Chromaticity dia...
[8]橋本直孝 ``画像領域に依存した処理を行う色覚異常者のた...
[9]越貴章 ``ドット・格子を用いた模様掛けによる色覚異常者...
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