色抽出とテンプレートマッチングを用いた複数種類の道路標識の自動検出
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[[太田研 公開用Wiki]]
*色抽出とテンプレートマッチングを用いた複数種類の道路標識...
#contents
*序論 [#i4c4d824]
近年開発が盛んに行われている自動運転車の安全な走行を実現...
自動運転車が標識を検出できるようにするには, 標識からビー...
よって今ある道路標識を活用できる, 人間の目と同様に画像に...
画像から道路標識を検出する手法として、これまた近年盛んに...
しかし, 機械学習は学習に多量のデータや計算資源を要し、あ...
対して本研究では, とりわけ重要度が高い赤色を用いた標識を...
また, 実際の公道に於いては, 複数種類の標識を同時に検出, ...
よって速度標識など赤色円形の標識と, 一時停止標識を同時に...
*手法 [#y06bcc13]
道路標識はJIS規格により定められた特徴的な配色を用いている.
そこで自動運転車の前方の画像から赤色領域を抽出し, その形...
アルゴリズムは大まかに図2.1の様に構成されている.
以下に詳細を説明する.
#ref(algorithm.png,center,40%)
CENTER:図2.1: 標識検出のフローチャート
**赤色領域抽出 [#s874a0fd]
先ず前処理として入力画像の表色系をHSV表色系に変換しておく.
図2.2は入力画像の例である.
その後入力画像から赤色の領域のみを抽出し, 図2.3の様な画像...
更に抽出した領域を二値化した画像が図2.4である.
赤色は表2.1の如くHSV表色系に基づく閾値により定義しておく.
ここで色相と彩度のみを用い, 明度を見ないことである程度の...
CENTER:表2.1: 赤色領域抽出処理で用いた閾値
|色相|H <= 10°, 270° <= H|
|彩度|S >= 13.7%|
#br
#ref(bgr_img.png,center,80%)
CENTER:図2.2: 入力画像の例
#br
#ref(red_img.png,center,40%)
CENTER:図2.3: 赤色領域を抽出した画像
#br
#ref(bin_img.png,center,40%)
CENTER:図2.4: 抽出した領域を二値化した画像
**ラベリング [#ac7b53dc]
ラベリングは画素の連続性を検査し, 連続で独立な領域を判定...
ここで各領域の座標, 幅, 高さの値を得る. 得た値を表示した...
この処理は後半2段の前処理となる.
#ref(label_param.png,center)
CENTER:図2.5: 各領域の座標と大きさ
**雑音除去 [#g1491df5]
先に求めた連続領域のうち, 画像の高さに対して,
高さもしくは幅が2.8%未満の小さな領域を, ノイズと見做して...
例えば図2.6では左に木の陰が写っているが, 図2.7では正しく...
#ref(bin_img.png,center,40%)
CENTER:図2.6: 雑音除去前の画像
#br
#ref(denoised_img.png,center,40%)
CENTER:図2.7: 雑音除去後の画像
**テンプレートマッチング [#f8b8d7c7]
テンプレートマッチングは対象画像の中で注目領域を走査させ...
注目領域とテンプレートとの類似度を計算する処理である.
これにより赤色領域の形状を検査する.
テンプレートは改めてラベリング処理を行って得た, 標識の候...
このとき, テンプレートを複数用いて, 複数種類の道路標識の...
実験では赤色円形の標識用, 一時停止標識用の2つを用いた.
それぞれに対して表2.2の閾値を与え,
類似度がこれ以上のとき, 検出対象の標識であると判定する.
なお, 実験での類似度計算にはZNCCを用いたが,
SAD等他の計算法[[[1]>#j76cb3f5]]を閾値調整の上で用いるこ...
CENTER:&ref(temp_circ.png,center); &ref(temp_stop.png,cen...
CENTER:図2.8: 赤色円形の標識用 図2.9: 一時停止標識用
#br
CENTER:表2.2: テンプレートマッチングの閾値
|赤色円形の標識|0.5|
|一時停止標識|0.75|
*実験と評価 [#m56d49b0]
**実験方法 [#ke6caad2]
2019年12月15日〜20日の日中, 群馬県内でドライブレコーダー...
検出対象の標識が1枚以上写った画像225枚を選び, 画像セット...
この画像セットに対し, 上記のアルゴリズムを実装したプログ...
なお, 実装にはIntel社が開発を行っているライブラリ, OpenCV...
**実験結果 [#t6bf0221]
結果のうち成功した例と失敗した例を以下に2つずつ示す.
なお, 速度標識や駐車禁止の標識など, 赤色円形の標識を検出...
また, 一時停止の標識の場合は赤色の正方形で表している.
***成功例 [#y50e4a92]
図3.1の画像では, すべての検出対象を正しく検出できた.
また, 図3.2の様に多少逆光の場合でも標識を検出できた.
#ref(true1.png,center,80%)
CENTER:図3.1: 成功例1
#br
#ref(true2.png,center,80%)
CENTER:図2.7: 成功例2
***失敗例 [#tf5fcd5d]
図3.3の画像では, 検出対象である一時停止の標識を検出できな...
更に, 一時停止の標識右の木を赤色円形の標識と誤認して検出...
また, 図3.4の様に極端な逆光の場合は検出できなかった.
#ref(false1.png,center,80%)
CENTER:図3.3: 失敗例1
#br
#ref(false2.png,center,80%)
CENTER:図3.4: 失敗例2
**評価 [#td0368bf]
標識検出の成否をTP, FP, FNの3つのクラスに分類し表3.1を得...
:TP|正しく検出できた標識 (True Positive)
:FP|誤って検出した標識でないもの (False Positive)
:FN|検出できなかった標識 (False Negative)
である.
CENTER:表3.1: 各クラスに分類された標識の数
|TP|RIGHT:258|
|FP|RIGHT: 5|
|FN|RIGHT:110|
そして, 各クラスに分類された標識の数から精度 (Precision),...
以下にそれぞれの式を示す.
#ref(formula.png,center,30%)
斯くして, 表3.2の如き統計量を得た.
ここから, 実験では画像セットに写っている373枚の標識中258...
また, 精度は98%を達成した.
CENTER:表3.2: 本アルゴリズムの評価
|精度 |0.981|
|検出率|0.701|
|F値 |0.818|
*考察 [#lfe49bc1]
以下に未検出や誤検出の原因について考察する.
**失敗例1について [#c708f58b]
図4.1は図3.3の標識付近を拡大した画像である.
この画像では一時停止の標識に隣接して, 木の枝の先が赤く映...
図4.1に赤色抽出処理を施すと図4.2の画像となる.
このような場合, 雑音除去を施しても図4.3の様に木の枝等が標...
テンプレートマッチングの段階ではマッチングスコアが低下し...
CENTER:&ref(discuss1_color.png,center,54%); &ref(discuss1...
CENTER:図4.1: 入力画像 図4.2: 赤色抽出後 図4.3: 雑音除去後
**失敗例2について [#w0203cbe]
図4.4は図3.4の標識付近を拡大した画像である.
図4.4に赤色抽出処理を行った画像が図4.5である.
この様に強い逆光の画像からは赤色が殆ど抽出できない.
とりわけ縦に並んだ標識のうち下のものは褪色しているため, ...
上の標識は少しは抽出できているものの, 細切れの小さい領域...
図4.6の様に削除されてしまう.
この問題を閾値調整で解決しようとすると, 精度とトレードオ...
例えば逆光の中写った標識や褪色した標識の赤色を抽出すべく,
赤色の閾値を広げると前節で述べたような木をより多く抽出し...
CENTER:&ref(discuss2_color.png,center,90%); &ref(discuss2...
CENTER:図4.4: 入力画像 図4.5: 赤色抽出・二値化後 図4.6: ...
*結論 [#nb64b765]
本論文では先ず, 機械学習等に依らず, 基本的な画像処理の組...
そしてこれに対して実際のドライブレコーダーの画像を入力と...
結果, 照明や背景等の条件により検出できない標識があるもの...
発展として, 青色を基調とした道路標識の検出にも本手法を応...
また, 今回は昼間の画像に対してのみ実験を行ったが,
夜間の画像をも入力とした実験を行い, 本手法の有効性を検証...
閾値の調整, 或いはアルゴリズムの改良を行うことも考えられ...
今後の課題として, 褪色した標識をも検出できるようにするこ...
特に道路標識の赤色は褪色しやすく[[[3]>#j76cb3f5]], 手法の...
また, 本研究ではアルゴリズムの実行速度について厳密には考...
高速なテンプレートマッチングアルゴリズムの使用や並列処理,...
車載の計算機でも充分に高速に実行できる実装が望まれる.
*参考文献 [#j76cb3f5]
[1] 秋月秀一, 櫻本泰憲.
中京大学 橋本研究室.
"基本的なテンプレートマッチング" (2013-06-08).
http://isl.sist.chukyo-u.ac.jp/Archives/tm.html (accessed...
[2] "OpenCV.jp". http://opencv.jp/ (accessed 2020-02-29).
[3] 道満恵介, 出口大輔, 他.
"色変動を考慮した生成型学習法を用いたカスケード型標識検出...
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報. vol.108. no.363....
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*色抽出とテンプレートマッチングを用いた複数種類の道路標識...
#contents
*序論 [#i4c4d824]
近年開発が盛んに行われている自動運転車の安全な走行を実現...
自動運転車が標識を検出できるようにするには, 標識からビー...
よって今ある道路標識を活用できる, 人間の目と同様に画像に...
画像から道路標識を検出する手法として、これまた近年盛んに...
しかし, 機械学習は学習に多量のデータや計算資源を要し、あ...
対して本研究では, とりわけ重要度が高い赤色を用いた標識を...
また, 実際の公道に於いては, 複数種類の標識を同時に検出, ...
よって速度標識など赤色円形の標識と, 一時停止標識を同時に...
*手法 [#y06bcc13]
道路標識はJIS規格により定められた特徴的な配色を用いている.
そこで自動運転車の前方の画像から赤色領域を抽出し, その形...
アルゴリズムは大まかに図2.1の様に構成されている.
以下に詳細を説明する.
#ref(algorithm.png,center,40%)
CENTER:図2.1: 標識検出のフローチャート
**赤色領域抽出 [#s874a0fd]
先ず前処理として入力画像の表色系をHSV表色系に変換しておく.
図2.2は入力画像の例である.
その後入力画像から赤色の領域のみを抽出し, 図2.3の様な画像...
更に抽出した領域を二値化した画像が図2.4である.
赤色は表2.1の如くHSV表色系に基づく閾値により定義しておく.
ここで色相と彩度のみを用い, 明度を見ないことである程度の...
CENTER:表2.1: 赤色領域抽出処理で用いた閾値
|色相|H <= 10°, 270° <= H|
|彩度|S >= 13.7%|
#br
#ref(bgr_img.png,center,80%)
CENTER:図2.2: 入力画像の例
#br
#ref(red_img.png,center,40%)
CENTER:図2.3: 赤色領域を抽出した画像
#br
#ref(bin_img.png,center,40%)
CENTER:図2.4: 抽出した領域を二値化した画像
**ラベリング [#ac7b53dc]
ラベリングは画素の連続性を検査し, 連続で独立な領域を判定...
ここで各領域の座標, 幅, 高さの値を得る. 得た値を表示した...
この処理は後半2段の前処理となる.
#ref(label_param.png,center)
CENTER:図2.5: 各領域の座標と大きさ
**雑音除去 [#g1491df5]
先に求めた連続領域のうち, 画像の高さに対して,
高さもしくは幅が2.8%未満の小さな領域を, ノイズと見做して...
例えば図2.6では左に木の陰が写っているが, 図2.7では正しく...
#ref(bin_img.png,center,40%)
CENTER:図2.6: 雑音除去前の画像
#br
#ref(denoised_img.png,center,40%)
CENTER:図2.7: 雑音除去後の画像
**テンプレートマッチング [#f8b8d7c7]
テンプレートマッチングは対象画像の中で注目領域を走査させ...
注目領域とテンプレートとの類似度を計算する処理である.
これにより赤色領域の形状を検査する.
テンプレートは改めてラベリング処理を行って得た, 標識の候...
このとき, テンプレートを複数用いて, 複数種類の道路標識の...
実験では赤色円形の標識用, 一時停止標識用の2つを用いた.
それぞれに対して表2.2の閾値を与え,
類似度がこれ以上のとき, 検出対象の標識であると判定する.
なお, 実験での類似度計算にはZNCCを用いたが,
SAD等他の計算法[[[1]>#j76cb3f5]]を閾値調整の上で用いるこ...
CENTER:&ref(temp_circ.png,center); &ref(temp_stop.png,cen...
CENTER:図2.8: 赤色円形の標識用 図2.9: 一時停止標識用
#br
CENTER:表2.2: テンプレートマッチングの閾値
|赤色円形の標識|0.5|
|一時停止標識|0.75|
*実験と評価 [#m56d49b0]
**実験方法 [#ke6caad2]
2019年12月15日〜20日の日中, 群馬県内でドライブレコーダー...
検出対象の標識が1枚以上写った画像225枚を選び, 画像セット...
この画像セットに対し, 上記のアルゴリズムを実装したプログ...
なお, 実装にはIntel社が開発を行っているライブラリ, OpenCV...
**実験結果 [#t6bf0221]
結果のうち成功した例と失敗した例を以下に2つずつ示す.
なお, 速度標識や駐車禁止の標識など, 赤色円形の標識を検出...
また, 一時停止の標識の場合は赤色の正方形で表している.
***成功例 [#y50e4a92]
図3.1の画像では, すべての検出対象を正しく検出できた.
また, 図3.2の様に多少逆光の場合でも標識を検出できた.
#ref(true1.png,center,80%)
CENTER:図3.1: 成功例1
#br
#ref(true2.png,center,80%)
CENTER:図2.7: 成功例2
***失敗例 [#tf5fcd5d]
図3.3の画像では, 検出対象である一時停止の標識を検出できな...
更に, 一時停止の標識右の木を赤色円形の標識と誤認して検出...
また, 図3.4の様に極端な逆光の場合は検出できなかった.
#ref(false1.png,center,80%)
CENTER:図3.3: 失敗例1
#br
#ref(false2.png,center,80%)
CENTER:図3.4: 失敗例2
**評価 [#td0368bf]
標識検出の成否をTP, FP, FNの3つのクラスに分類し表3.1を得...
:TP|正しく検出できた標識 (True Positive)
:FP|誤って検出した標識でないもの (False Positive)
:FN|検出できなかった標識 (False Negative)
である.
CENTER:表3.1: 各クラスに分類された標識の数
|TP|RIGHT:258|
|FP|RIGHT: 5|
|FN|RIGHT:110|
そして, 各クラスに分類された標識の数から精度 (Precision),...
以下にそれぞれの式を示す.
#ref(formula.png,center,30%)
斯くして, 表3.2の如き統計量を得た.
ここから, 実験では画像セットに写っている373枚の標識中258...
また, 精度は98%を達成した.
CENTER:表3.2: 本アルゴリズムの評価
|精度 |0.981|
|検出率|0.701|
|F値 |0.818|
*考察 [#lfe49bc1]
以下に未検出や誤検出の原因について考察する.
**失敗例1について [#c708f58b]
図4.1は図3.3の標識付近を拡大した画像である.
この画像では一時停止の標識に隣接して, 木の枝の先が赤く映...
図4.1に赤色抽出処理を施すと図4.2の画像となる.
このような場合, 雑音除去を施しても図4.3の様に木の枝等が標...
テンプレートマッチングの段階ではマッチングスコアが低下し...
CENTER:&ref(discuss1_color.png,center,54%); &ref(discuss1...
CENTER:図4.1: 入力画像 図4.2: 赤色抽出後 図4.3: 雑音除去後
**失敗例2について [#w0203cbe]
図4.4は図3.4の標識付近を拡大した画像である.
図4.4に赤色抽出処理を行った画像が図4.5である.
この様に強い逆光の画像からは赤色が殆ど抽出できない.
とりわけ縦に並んだ標識のうち下のものは褪色しているため, ...
上の標識は少しは抽出できているものの, 細切れの小さい領域...
図4.6の様に削除されてしまう.
この問題を閾値調整で解決しようとすると, 精度とトレードオ...
例えば逆光の中写った標識や褪色した標識の赤色を抽出すべく,
赤色の閾値を広げると前節で述べたような木をより多く抽出し...
CENTER:&ref(discuss2_color.png,center,90%); &ref(discuss2...
CENTER:図4.4: 入力画像 図4.5: 赤色抽出・二値化後 図4.6: ...
*結論 [#nb64b765]
本論文では先ず, 機械学習等に依らず, 基本的な画像処理の組...
そしてこれに対して実際のドライブレコーダーの画像を入力と...
結果, 照明や背景等の条件により検出できない標識があるもの...
発展として, 青色を基調とした道路標識の検出にも本手法を応...
また, 今回は昼間の画像に対してのみ実験を行ったが,
夜間の画像をも入力とした実験を行い, 本手法の有効性を検証...
閾値の調整, 或いはアルゴリズムの改良を行うことも考えられ...
今後の課題として, 褪色した標識をも検出できるようにするこ...
特に道路標識の赤色は褪色しやすく[[[3]>#j76cb3f5]], 手法の...
また, 本研究ではアルゴリズムの実行速度について厳密には考...
高速なテンプレートマッチングアルゴリズムの使用や並列処理,...
車載の計算機でも充分に高速に実行できる実装が望まれる.
*参考文献 [#j76cb3f5]
[1] 秋月秀一, 櫻本泰憲.
中京大学 橋本研究室.
"基本的なテンプレートマッチング" (2013-06-08).
http://isl.sist.chukyo-u.ac.jp/Archives/tm.html (accessed...
[2] "OpenCV.jp". http://opencv.jp/ (accessed 2020-02-29).
[3] 道満恵介, 出口大輔, 他.
"色変動を考慮した生成型学習法を用いたカスケード型標識検出...
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報. vol.108. no.363....
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