テンプレートマッチング法を用いる際に、探す画像パターンに変化が生じていた場合、どの程度の変化なら許容されるか、またどの方法が最も耐性があるのかがこれまではわからなかった。そこで本研究では、探す画像パターンに倍率・回転の変化があったとき、どの方法が耐性があるのかを実験を通して評価した。
評価を行ったマッチング法は以下のものである。
評価を行うために、以下のような背景画像とテンプレートを使用した。
ただし、背景画像とテンプレートはまったく関係のない画像である。
評価の全体の流れは以下のようになっている。
背景画像とテンプレートでテンプレートマッチングを行うと、テンプレートに似ている画像パターンがない場合のスコア(これをaとする)が得られる。また、テンプレートとテンプレートを変化させたものでテンプレートマッチングを行ったとき、テンプレートの変化につれてスコア(これをbとする)は悪くなっていく。このとき、b > aである間は正しくマッチングできると判断できるので、背景画像とテンプレートでテンプレートマッチングを行い、結果のスコアを判定値として使うことにした。判定値の求め方は以下のとおりになる。
許容範囲を求めるには、テンプレートの倍率を変化させたり回転の変化を行ったものが必要である。そこで、倍率の変化については80%~120%(2%刻み)の倍率変化を行ったものを用意し、回転の変化については、0°~20°(2°刻み)の回転を行ったものを用意する。
先ほど作成した画像はノイズがない画像であり、ノイズを付加して現実的な状況での結果も知りたいと考えた。そこで、先ほど作成した画像に平均0標準偏差2のガウスノイズ、平均0標準偏差8のガウスノイズ、平均0標準偏差32のガウスノイズを付加したものを用意し、ノイズを付加した場合の結果も調べることにした。
許容範囲は以下のように求める。
結果から、倍率の変化においてはSAD・NCCが耐性があり、ISCは耐性がないことがわかった。また、回転の変化においてはSADが耐性があり、ISCは耐性がないことがわかった。
今後の課題としては、
が挙げられる。