近年、子供たちの間では理科離れという問題が増えてきている。これにより、生徒の理科に対する理解力や基礎的な知識が年々低下している傾向が見られる。この問題により、現在は技術者の育成が難しい状況にある。
この事から、本研究では子供たちが自然と理科に興味、関心を持てるような理科教材の考案、そしてその装置の開発を目的とした。
実装する装置として光に触れると音がなる、といった装置を考案した。
これは音を乗せた光を壁に投影し、そこに触れるとスピーカやイヤフォンといった音響機器から音がなるといったものである。子供たちにとって光と音は関連しない別のものであると思われる為、このような事ができれば不思議に思って興味を持ってくれるのではないかと考えた。
また、これは音波を乗せた信号をLEDで発光することで音/光変換を行い、それをフォトダイオードや太陽電池といった受光素子で受けることで光信号をまた音声信号に戻して音響機器に出力する、といった事で実現ができると考える。
装置は発光部と受光部に分かれ、発光部は音源から音声信号を受け取り、それを音/光変換し、光を壁に投影する。受光部は投影された光に受光素子を当てることで光を受け、光/音変換し、スピーカーやイヤフォンといった音響機器に出力し、音を鳴らす。
概要図
実装した発光部を下図に示す。
発光部
発光部本体からは電源ケーブルが延びており、9VDCの電源を必要とする。また、光源としては赤色と黄色の2色を採用した。各光源はそれぞれの色のLEDを直列に5個繋げたものを5並列用意した。光量から目算1[m]〜2[m]程度の範囲で光を投影することができる。なお、光量さえ気にしなければ、それ以上の距離で光の送受信は行える。
発光状態 投影図
発信機の回路のブロック図を下図に示す。
ブロック図
音源としては一般的なオーディオ機器を想定し、それらに接続できるフォーンプラグを入力プラグとして採用した。音源から音声信号を受け取ったら増幅回路にて信号増幅し、LED群に出力する。LED群には各LEDに音声信号無しで20[mA]流れるように設計した。
これは使用したLEDの絶対定格電流が30[mA]であったことから、音声信号の強弱で絶対定格電流を超えないように定めたからである。
実装した受光部を下図に示す。
受光部
受光部本体からは電源ケーブルが延びており、9VDCの電源を必要とする。また、電源とは別に受光素子に伸びているケーブルもあり、それを用いて光に触れる。受光素子には太陽電池を採用した。受光部本体には8[Ω]抵抗のスピーカーが接続されており、受光素子から受けた信号を出力する。
発信機の回路のブロック図を下図に示す。
ブロック図
受光素子としては太陽電池を採用した。受け取った光を太陽電池が信号に変換し、その信号を増幅回路で信号増幅し、8[Ω]抵抗のスピーカーに出力する。
今回作成した受光部の受光素子として太陽電池を採用した。しかし、フォトダイオードやフォトトランジスタといった受光素子は他に存在する。それらのものと太陽電池との違いは受光面積の違いである。受光面積が違いは以下のようなものである
太陽電池 フォトダイオード
以上の事から以下のようなことが言える
以上のことから、今回の装置は子供向けという点を考慮して外乱の影響は受けてしまうが、扱いやすい太陽電池を採用することとした。しかし、外乱の影響が大きな不快となってしまうイヤフォンタイプを作成する場合には、出力が少なかろうと外乱の影響を受け易いフォトダイオードを選択するといったことも考えられる。
今後の展望として以下のようなものが考えられる。